ゲーリーヤマモト カスタムベイツ

GARY YAMAMOTO FISHING COLLECTION 2008
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2008.06.18
KBバスプロトーナメント SHINGO 準優勝
『KB韓国バスプロトーナメント参戦記・後編』


アオコだらけの真夏のシンガル貯水池で無事?にプラをして、無事?に食事をして、無事?に気絶した2日目が終わり、目を覚ましたら試合日である。


8月19日(日)


AM4時に全員ゾンビのように起き出して身支度をし、食堂へ向かう…(注・食堂へ行く…さすがです)。朝から食堂でクッパのような熱い鍋を貪る。「頼もしいかぎりだ…」 ただただ私とRaizou君はボー然と眺める。たっぷり食ってから会場に行き、ボートの準備とタックルのセッティングをして、タックルチェックをしてもらってからステージ付近にある受付に向かう。(注・このあたりは日本も同じ)


ジョォン、Raizou君と共に受付をすませて会場ステージ前で談話しながらミーティング待ち。ゾクゾクと他の選手達も集まってきては「SHINGOさーーん、ファイトです」「今年は、負けませんよ」 顔なじみの熱い挨拶が嬉しい。


今回、私達が参加する試合はKBのプロ戦シリーズの第3戦である。40名程のプロが参加している規模ですが、シンガル貯水池ではちょうどいい人数である。


AM6時からミーティング開始。日本から来た私とRaizou君が紹介され一言挨拶。「今年も日本から日韓親善できました…中略…頑張りましょう」韓国選手から拍手を頂きました。オウ会長から挨拶。ルール説明。帰着時間の確認。と試合の流れを聞くが韓国語はさっぱりわからない2人です。 どうやら13時までにウエインと魚の検量を同時にやらないと失格らしい(注・日本語に通訳してもらうのだが…あやしい)。


そして、試合のスタートを迎える。AM6時半にはスタート開始である。私のボートには釣りビジョンのカメラマンが乗る。(注・韓国人で日本語はできない方)Raizou君にはKBのビデオカメラマンが乗る。緊張のRaizou君を見るのは微笑ましい。


「Raizou君、釣らないとダメだからね」
「はい…」


まぁ、釣れても、釣れなくても良い思い出になるでしょう(笑)。私はカメラマンと、挨拶と簡単な戦略をボディーランゲージで説明してからボートに乗り込み。スタートを待つ。日本同様にみんな殺気立っている。しかも"全員、目がイっている状態"で我先にスタートを待つ。(注・韓国ではカラーフラッグに分かれて、スタート。10名位でワンフライトかな)


「SHINGOさーん、スタート始まってますよ!」
「OK!サンキュー(よくわからなままに始まっていた)」


気分を試合モードになるように祈りながら「さて、どこから攻めるかな…」ついに試合が始まった。ルールでは会場前の"Hera・House"周辺はエレキエリアである。各自のポイントへ向かう為にエレキ全開で移動してから、エンジンで移動である。


私は左周りにスゴイバイブをキャストしながら自分の狙いたいポイントに向かう。ついでに各選手の行きたい方向(ポイント)を眺めながらバッティングが少ない自分のエリアに入る。天候は曇り空である。「まだ、暑くはないなぁ…日が出て暑くなる前に勝負か…」


タックルデータ


1.シャッド(ラッキーのベビーシャッド、HNKLのザッカー)
 ライン・東レバウオのスーパーフィネス5ポンド
 フック・がまかつのトレブル21交換
2.ミノー(ラッキーのビーフリーズ65DD、HMKLのK−1)
 ライン・東レバウオのスーパーフィネス5,5ポンド
 フック・がまかつのトレブル21交換
3.バイブレーション(スゴイバイブ、LV500、)
 ライン・東レバウオの16ポンド
 フック・がまかつのトレブル21交換
4.ノーシンカー(ゲーリーのカットテール4、ゲーリーのヤマセンコー各サイズ、スワンプクローラー)
 ライン・東レ・シーバスPE F0 (エフゼロ)の18ポンド
 フック・がまかつワーム321バルキータイプの1/0サイズ
5.ラバージグ(自巻きの1/4オンスに4インチグラブ、ゲーリーグラブ4インチ黒、ブラッシュホッグ)
 ライン・東レバウオの14ポンドライン
6.テキサスリグ(ジャンボグラブ、ブラッシュホッグ)
 ライン・東レバウオの16ポンドライン
 フック・がまかつワーム321バルキータイプの3/0サイズ
7.ジャークベイト(HMKLの姫)
 ライン・東レバウオの7ポンド
 フック・がまかつのトレブル21交換


先客は1人、2人である。無風なので3キャストで移動し昨日良かった『アボジハンプ』に入る。


微妙に陸っパリマンがいるが釣れていない様子で移動しながら釣りをしていた。なのでチェックする事にした。
チョイスはラッキークラフトのポインターのディープモデル(ポインターDD65SP−WA)のワカサギカラー、ベビーシャッドのSHINGOカラーのファンタジーモスを交互にキャストしステディーリトリーブをしながら『アボジポイント』を攻める。


5投目位でバスのバイトがあり600g前後の元気のいいバスをキャッチした。「おお、まだいたね」


その後、600前後が入れ食ったので30分位でリミットメイク完成。その光景を呆然と見ていた陸っパリマン達がダッシュで戻ってきてキャストをし始めたのは言うまでもない。「ここまでか…」


移動を決め微妙なコースにラストキャストすると昨日のような『ズンッ』と重く押さえ込むようなバイト(?)があった。反射的にフッキングするも動かない。「あれ?何か(ラインか枝のようなモノ)に引っ掛けたか?」


陸っパリマンがいるから、あまり近づけない。ロッドを立てて少し近づくとラインがゆっくりと走り出す。「やっぱり、魚だ!バスか?」


重々しく水面を割って姿を現したバスは2kg近い。ラインブレイクされないように5分近くファイトし、今回はランディング用のネットもないので慎重に慎重にハンドランディング。


「よっしゃーー…いいサイズだ!」


少し震えたね(笑)


陸っパリマンから拍手を頂いた(笑)。気が付けば3人いた陸っパリマンが7人に増えたので移動。「あと4本入れ替えれば…今日はシャッド、ミノーでいくかな…」


なんの根拠もないが、ニュータイプの感で「"何だかシャッド、ミノー"でいけ」と告げている(注・ウソ)。そして、ポインター65DDが笑っている。HMKLのK−1も姫も笑っている(注・本当)。最大の理由でキーポイントは、マッディーウォーターの中で私がアルファーサイト(45Sスペシャルのシャイニーアンバー)を駆使して、サイトし確認したベイトフィッシュのサイズとぴったりである。さらに観察してデカバスがボイルするベイトフィッシュのサイズが2種類いた事を見た為である。(HMKLの姫とポインター65DDの2サイズ)(レンズマスター坂本氏に感謝)


ただ昨日、試しにザッカー、K−U、ベビシャは小さいのが先にアタックしてしまい無限バイトであるがウエイトが伸びない。スゴイバイブは一発デカイバスを拾える。カットテール、ヤマセンコーを使えば最悪の状態(注・釣れない)の時のリミットメイクの切り札であったが…朝一でリミットメイク完了なので、『ポインター』と『姫』で入れ替えサイズを捕獲し確保する事に専念できる。しかも朝一でのリミットメイクは何十年ぶりかと思うほどである。気分も楽である。


そのまま左エリアを20分程適当に流して、『絶叫の岬(陸っパリマンが叫んでいる岬)』へエンジンで移動した。やはり、陸っパリマンの人気スポットなのか大勢が釣りをしている。遠目からベイトフィッシュの有無を確認していると陸っパリマンが50アップをぶち抜いている。「デカバスがいるのは解るが、キャストはできないなぁ…」


しかも天候回復で日が射してきて肌が痛い。「今日も暑くなるぞ…」日焼け止めを塗りまくり、ドリンクを飲む。時間は午前9時前である…。


『チング(友)岩』へ移動。しかし、ここはベイトが入っていない様子。600g位のを数本釣りましたが入れ替えならずで移動。『オモニ(母)岬』へ移動。ここも風が無く断念。『ボイルエリア』へ移動。昨年のキッカーを釣り、昨日もナイスバスを仕留めたエリアである。しかーし、陸っパリマンの多いこと…過激なキャストでバスでなく私を狙い撃ち状態。一気に気が滅入る。


「時間をズラして…必ずデカイのを仕留めに戻ってくるぞ…」時間は9時半位なので11時に再度アタックを心に決めて。スタート地点の目の前にある"Hera・House"に向かう。10時位に到着し沖側からエレキで流そうとスイッチを踏む。


〜シーーン〜


「?(嫌やーーーな予感)」


ニュータイプゆえの嫌な予感を払拭すべく何度もエレキのスイッチを踏む、踏む、踏む、踏む…。


〜シーーン〜


「????(注・ゾクッと感じる、嫌やーーーな予感)」
「終わった(エレキ故障?死亡?)」
「さて、どうしたモノか…」


風で流されると面倒であるが、ココは"Hera・Houseエリア"で試合中はエレキのみの移動である。一応、カメラマンに故障を告げて、会場に電話をして頂きエンジン使用の許可を願いでる。本部での指示でダメなら棄権である。失格も止むえまい。電話待ちの間に思いつく箇所をチェックするもエレキはウンともスンとも言わない。動かない。


何もできないまま風に流される。そして岸に刺さる。数分後に何とかエンジンの使用が許された。急いで半分座礁したボートを動かして、エンジンをアイドリングで抜け出した。


そして釣りを再開するためにポイントに移動。エレキ代わりにエンジンで流し始める。ボイルするところを狙うように適当に流す。HMKLの姫をハードジャークして一本キッカーフィッシュがバイトしてきた。


「デケーー暴れるなよ…」
「よーし、そのまま大人しく…」
激しいジャンプをするもバレていない。
「心臓が痛くなるから、大人しくして下さいね…」
「よーし、よーーーし…」
ハンドランディングしたバスは1500以上である。
「ふーーこれで2本のビックバスだ…あと3本」


その後は面白い事に適当に流しているのも関わらず入れ食いである(笑)。細かい入れ替えに、入れ替えをして10時45分にはウエイトを5キロオーバーにした。一番小さいのが800g台、次が800g台、次が900g台である。1500g台、1900g台がいる。


するとカメラマンに電話が入り「選手で2台エレキも持っていてハンドコンなら貸せるので、それを使いなさい」という指示がきた。「わかりました。ありがとうございます!」ありがたい事です。貸してくれる選手と合流してハンドコンを受け取りお礼を言って別れる。


その選手が自分のポイントに移動しながら釣りをしている様子を何気に見ていると、なんとビックバスを連発させている…。


「奇跡か…良いことはするモノだ…」


ハンドコンで流しているとRaizou君も戻ってきた。リミットメイクはできていないのか非常に焦っているように見える。移動を繰り返す。『アボジハンプ』『チング(友)岩』『絶叫の岬(陸っパリマンが叫んでいる岬)』に移動しチェックするも上手く流せない。これでは陸っパリマンの厳しいガードを掻い潜れない…。


当然、本命ポイントである『ボイルエリア』は無理であろう…。葛藤しながらも最後時間を"Hera・Houseエリア"に賭ける事にした。AM11時20分。


時折、ボイルするポイントをハンドコンでフラフラと流す。一心不乱にミノーを投げまくる。ポロポロと700g〜900gのバスが釣れて入れ替えをする。集中しているのか暑さを感じない。ラッキークラフトのポインター65DDをロングキャストしてさらに一本デカイのが来た!「デケーー2kg近いか2kgオーバーか?」


アタフタとハンドランディングしようとしたらルアーが見えない。その瞬間に一気に潜るバス。ドラッグが悲鳴を上げている途中にテンションがなくなる。


「バレた…切れた?」


膝に力がなくなり気絶しそうになる。しかし、カメラマンがいる。しかも「頑張って」と言ってくれている辛うじて立ち上がり、ラインチェックするとザラザラである。口に吸い込まれラインが歯で切れたようだ…もう少しドラグを弱く調整していたら…自分のミスである。


新しいポインター65DDを結び。アルファーサイトで微妙な水面の変化を見つける。不思議とバレた後遺症を引き摺っていない自分に気が付く。「大丈夫だ…」


「見つけた!」


ロングキャストしてリールを5回程しか巻かないうちにズンッとロッドを押さえられた。「デカイ…今度はバラさない」慎重にジャンプをかわしてハンドランディングしたバスは推定1500g台である。(注・デカイのと時間がないのでバネ秤では測定していないが…余裕もない)


小さい900g台と入れ替えである(笑)。「あと、2本だ」さらにアルファーサイトで微妙な水面の変化を見つける。今度はベイトの乱れを見つけた。ロングキャストして何度かコースを変えてやると"ズンッ"とロッドを押さえられた。


「?デカイのか?…まぁまぁのサイズかな?」ランディングし量ると1200gある。「意外とあるね」900gと入れ替えである。「あと、1本だ」


何気に同じコースにキャストすると、またも"ズンッ"とロッドを押さえられた。ランディングすると1100g台である。「スクールに当たったか?」これで小さいのが1100gである…。予想では6キロ後半かな(注・秤の誤差もある)


「少し、お立ち台が見えてきた」見える辺りでRaizou君もデカイのを釣り上げガッツポーズを上げて叫んでいる。「Raizou君もいい感じみたいだ」


PM12時5分。残り時間は55分程であるが帰着し検量を考えると20分はない。帰着時間の関係からゾクゾクを選手が戻ってきては、時間調整で釣りをしている。「あと1本」


選手が増えて、さらに釣り難い状況であるがアルファーサイトで微妙な水面の変化を見つけるのに専念した。「ドラマは起きるのか?」しかし変化は起きない。


何気なく心引かれる辺りに"超ロングキャスト"してリトリーブしながら、目ではアルファーサイトで微妙な水面の変化を見つけてキョロキョロしていると、グンッと根掛かりのような手応えがあり、直ぐに軽くなるので「何だ?」と振り向くと…バスがジャンプしている。


その口には何かが付いている。「何か口に付いているバスがジャンプしたぞ…」リトリーブしているが抵抗の無くなった感じである。しかもリトリーブコースの延長線上であるが…。またジャンプしたバスを見て。「またジャンプした」


そして口に付いているルアーに見覚えが…突然意識が戻った。「オレのか?」


恥ずかしながら私のルアーにバイトしたバスが一気に突っ込んで来ながら、口のルアーを外そうとジャンプをしていたみたいだ…。


一気にリールを巻くとテンションと突っ込んでくるバスの軌道がわかった。「やばい…(注・通常はフッキングされていないのでジャンプでバレる事が多い)」


ハンドコンでなかなか言う事を聞いてくれないボートを操作して奇跡的にランディングしたバスは1200g台。1100g台と入れ替えをして一気に帰着である。


003


たぶん「6キロ後半かな?」である。「お立ち台が見えたかな?」でもある。(注・曖昧な言い方である。計算上は7キロであるが、秤誤差や検量誤差で何度も泣いた経験があるので…検量してみないとわからない)帰着しボートと着けてウエインバックに魚を入れて急いで検量場に行きウエインを済ませ、検量を待った。


皆が気になるのか各選手が私の周りに集まりウエインバックを覗き込む。


「SHINGOさーーん!どうですか?」
「ナイスバスだ」


確かにナイスバスを釣ったが上位のウエイトが解らないので喜んでいいのか困る。先にウエインしたRaizou君は6キロ半である。


ジョォンはミスが重なり5キロ台であった。私は7300gとコールされた。しかし、周りは無反応である。


「あれ?ダメなのか?」


急に暑さを思い出した。表彰式までに片付けをして、ジョォン達と話をして待った。表彰式の時間が迫り、移動して皆と待つ。するとスタッフがきてオウ会長から私達日本選手に来るように言われた。


本部テントにRaizou君と行き話しをした。どうやら二人共入賞したので「講習会を20分程2人でやってくれなか」との事である。「果たして何位なのかな?」まぁ結果は準優勝でした。Raizou君は4位である。優勝は「私にエレキを貸してくれた人」でした。


優勝:イム・フィ・クュン 7685g
2位:SHINGO 7300g
3位:イ・アン・ジョン 6840g
4位:中尾雷太 6450g
5位:ファン・サン・ヨン 5780g


こうして無事に試合を終えて日本へ帰国するために仁川空港に…。楽しい時間を共有したジョォンと別れが辛いが「また来るから」と言い交流して3年が過ぎたので


「じゃあ、また!!」
「では!!また!!」


次回、韓国に行った時の楽しみが増えました。そんな韓国戦記でした。


最後まで読んで頂き感謝します。


SHINGO


004